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おいしいお茶を淹れる秘訣は三拍子の温度にあります。ほんの工夫でいつものお茶がより楽しく。

おいしいお茶の淹れ方 其の一

2024.03.19更新
ブログ「かにちゃんのお茶日記」の開設にともない,ページリンクを変更。

一人分の準備例

茶葉は買ってきた商品の袋ごと茶筒に入れて保存すると,空気に触れにういので鮮度が保てます。
つまり茶筒の中に袋を入れ子ちゃんにして,茶葉を二重に守るのです。

使う度に中の袋の口をきちんと折りたたんで,空気を抜いて、茶筒の奥に軽く押し込んで下さい。
そして茶筒の中蓋と外蓋をしっかりと閉めます。これで大丈夫

もし茶葉を袋から出して茶筒に移し替えて使っている場合は,前に使っていた茶葉をきれいに取り除き,洗剤で洗ったものを使ってくださいね。
古い茶葉の匂いが新しい茶葉に影響してしまうからです。
もちろん茶筒はよく乾燥したものを使ってくださいね。

どの画像も
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茶さじ1

茶葉は茶さじに山盛り一杯が基本です
目安がわからない時は少し多めに淹れてみて,次回から調整するようにします

決してケチらないでくださいね
ペットボトルのお茶に比べて安いものです
100g2000円の高級茶葉だって
一回の消費量を10gとすれば200円です
それを3杯淹れるから・・・1杯たったの66円です!
お菓子に比べれば安い安い

茶筒から救い上げる時はご注意を
茶さじを動かすのではなく,茶筒を横に倒して茶筒の方をゴソッゴソッと動かします
さじを無理に押し込むと,茶葉をバリバリに折ってしまいます

茶葉は品種や産地によって風味がかなり異なります
また蒸しや火入れの製法によって,淹れ方を工夫しなければいけませんが
とりあえず最初はこまかい事を気にせずやってみましょう
何度か淹れていくと感覚が分かってきますから。大丈夫

急須に茶葉を入れたら,あらかじめ手前の方へ寄せておきます
あとでお湯が注ぐとき、直接茶葉に当たらないようにするのです
茶葉のない急須の底の部分をめがけてお湯を注ぎます

茶さじ2手前に寄せた図

大事なお湯の準備

ポットやヤカンで沸かした新しいお湯を使います
できれば湧き水や市販の自然水,アルカリ水などが良いですね

水道水を使う場合は、備長炭などで水を柔らかくして下さい
気の利いたものがない場合は,ポットに備え着いてあるカルキ抜きの機能を使います

ただし完全に沸騰をさせてしまうと酸素の含有量が少なくなってしまいます
酸素は多いほうが,風味が豊かになるのです

ではどうすればよいのでしょうか
大丈夫!こうやってください
@カルキ抜きコースを選ぶ。ない場合は長めに沸騰させる(できればフタを開けて)
A湯ざましするときに,わざと高いところから“ジョボジョボジョボ”と注いで泡立てる
※Aは湧き水やアルカリ水などでも有効。酸素の量が再び増えて味が良くなります

こうすれば即席おいしいお湯の出来上がりです

さっそくお茶を淹れてみます

まず始めに,湯のみにお湯を入れます
これには二つの理由があって

一つは,一杯分のお湯の適量がこれで分かります
一杯目は茶葉がお湯をたくさん吸収してしまうので,その分だけ量を多めにするのですが,
その見当がつかみやすいのです。

お湯の計量 湯冷まし1

もう一つの理由は,単純に沸騰したお湯を冷ます効果があります
部屋の温度にもよりますが,この時点で5〜10度くらい下がると思います
沸騰直後のお湯なら90度くらいまで下がるということになりますね
未使用の器に初めてお湯をそそぐたびに,お湯の温度が5〜10度くらい下がると思って下さい

あらかじめ湯のみを温めておくことで,せっかくちょうど良い温度で完成したお茶が,
それ以上にぬるくならないという効果もあるのです

さて一杯目にしてはまだお湯の温度が高いのです

温度も三拍子
・一杯目はぬるく
・二杯目は少し熱く
・三杯目はかなり熱く
です

だから更にお湯を温度を下げましょう
湯のみで冷ましたお湯を,湯冷まし器に入れて更に冷まします
 下の写真ではコーヒーに使うミルクポットも用意しました
 口が狭いので冷めるまで時間がかかってしまいます(笑)
 でも取っ手があるので,指先が熱いのが苦手な方でも注ぎやすい,という利点もあります

湯冷まし2 湯冷まし3

しばらく(1分くらい)放置すると,更に温度が下がって80度くらいになっているはずです

さきほど湯のみで計ったお湯が,すでに湯冷ましに入っていますね?
二杯目からは湯のみを経由しません。大きく冷ます必要がないからです
二杯目以降はポットから湯冷ましに、直接入れることになります
さっき一杯目に湯のみを使ったことによって,量の感覚が身についているはずです

湯冷まし4 湯冷まし5

この日は暖かい日でした。思うように冷ますことができず,湯冷ましを2つ使いました
ミルクポットは取っ手があるので熱くなっても扱いやすく,さらに収納もコンパクトで気に入ってます

湯冷ましだけで適温がわからない場合は,小指に垂らして皮膚の感覚で覚える方もいらっしゃいます
一度覚えてしまえば,あとは単純な作業だけで最適の温度を得られるようになります
 初めのうちは神経質にならないで ^^;

コラム

急須の蓋

ちなみに急須の蓋は,穴の開いているほうが注ぎ口に向いているのが正しい形です
急須の作り手はその状態で絵柄を描いているからです
作り手の想いを感じながらお茶を淹れるくらい,余裕がほしいですね


UN 一杯目 “アン”

さぁここまできてやっと一杯目です
最適な温度のお湯を作るのがたいへんですが、慣れれば流れ作業です
あきらめないで

一杯目は色も味も控えめですが
透き通った緑色の中に甘みがよく出ます

お湯の温度は玉露で60℃未満,新茶も同じようにぬるめの60℃
煎茶なら70℃くらいでしょうか。80℃以上はちょっと高過ぎるかもしれません
 まぁ最初は・・・あまり温度を気になさらずにどうぞ♪

甘みを出したい場合はより低く,渋みと香りを出したい場合はより高くします
湯冷ましの器に触れても我慢できる位の熱さです

さきほどの準備で,ポットから湯のみ,そして湯冷ましに移したお湯は80℃くらいまで冷めているはずです
まだ高すぎるので,このまま放置して器に触れるくらいまで冷ましましょう
湯冷ましは口の広いほうが早く冷めやすいはずです

最近の電気ポットには温度設定が付いていますね
あらかじめ低めの温度にしておくと,ここで湯冷ましをする時間が省けます

さてお好みの温度まで下がったお湯を,いよいよ急須に入れます
ここで大事なのは,茶葉には直接触れないように急須の底に向かって小さじ一杯くらいのお湯を入れます
※中国茶は初めから熱湯を勢い良くかけますが,日本茶でそれをやると味が台無しになります
この時点では,未使用の急須は冷え切っているので,更にお湯が冷えることを計算に入れて下さい

さっき湯のみを温めるという意味がお分かりだと思いますが
未使用の急須の中で完成させた適温のお茶を,更に湯のみで冷ますことは無用なのです

次に急須を手前に傾けて,茶葉全体を湿らせます
お湯が足りないようでしたら少しだけ足してみます
茶葉全体を湿らせることが目的ですから,調度良い量は目視で判断して下さい

急須は台から持ち上げて扱うと,作業に無駄がありません
ここではダイナミックに動かしてください

これで茶葉にお湯が染み渡り,ゆっくりと茶葉が開き始めます

茶葉を開くまずは
茶葉を開かせる

30秒くらいでしょうか
茶葉は開き始めると深緑色から明るい黄緑色になるので様子が分かります

それから残りのお湯を入れます
紅茶と違ってお湯を入れる時は,ゆっくりと丁寧に
茶葉がなるべく撹拌(かくはん)しないように入れます

ドボ・・・。ドボ・・・。ドボ・・・。
と,何回かに分けてお湯を入れるとお湯が回流しないので必要以上に茶葉が開きません

一杯目1茶葉を
起こさないように

更に30秒〜60秒(お好みによって時間は加減して)待って,少しだけ湯のみに注いでみて下さい
玉露やかぶせ茶などはかなりぬるいお湯ですから,じっくりと・・・そうですね2分くらい待ちます
初めての銘柄で目安がわからない場合は,やりながら茶葉の特性を知り,感覚で覚えるのが良いでしょう

一杯目2ドンブラコ 一杯目3ゆ〜っくりと 一杯目4ドンブラコ

まだ色が付いていない場合は、二通りのやり方があります
1:いったん注ぐのを止めて,静止したまま更に15秒くらい待つ
2:“ゆ〜っくり”と@右(ためる),A左(注ぐ),B右(ためる),C左(注ぐ)・・・と手首をねじりながら,左右に揺らしつつ注ぎます。

そうですね,ドンブラコ〜ドンブラコ〜と船が揺れるような感覚です
強くダイナミックに揺らすことはダメです
もしできれば、少しだけ時計回りに回転させればなお素晴らしい

ここは難しい (^o^;

葉が細かい深蒸しの場合,急須のなかで目詰りをすることがよくあります
そのときは,左右に揺らすときに時計回りに丸く弧を描くように揺らすと(気休めですが)少しだけ目詰りが解消されます
※といっても、やっぱり深蒸し茶葉は詰まるのです。深蒸しに適した急須を使ったほうが良いです

それと!よく見かけることですが急須をグルグル乱暴に回すのは絶対にダメです
ここで茶葉を一気に開かせてしまうと後が台無しになるからです

お茶は注ぐときの勢いでも風味が変わります
勢いをつけて速く注げば荒めの風味に,ゆったりと優しく注げばまろやかな風味になります
※違いはごく微妙なので,はじめは気にしなくても良いと思います

そしてここが大切。最後の一滴まで注ぎ切ることが大事です
湯のみに向かって急須を叩きつけるように、何度も何度も何度も繰り返して振り下ろして、
茶葉に眠っている美味しい味を絞り出してください下さい
※急須は割らないでね

ただこれをやるとお茶は確実に濁るんですよ
澄んだ緑色が好きな方はこれはやらないほうが良いです
見た目より、味優先の方はぜひ振りましょう

さてどっちにしても,急須の中のお湯は空にしてくださいね。なぜならば・・・

一杯目5お湯は空にする

一杯目を注ぎ終わった急須の注意事項は
・お湯が残ったまま放置すると,茶葉が必要以上に開いてしまいます
・茶葉が蒸れないように蓋を開けましょう

茶葉が注ぎ口側(左側)に寄ってしまって、茶葉の様子が分かりにくい時は,
急須の反対側(右側)を下にして、左手の平に叩きつければ、茶葉の塊がほぐれます
こうすると全体の茶葉の開き過程がよくわかります

ここではぜひ鼻を近づけて,急須の中に充満している香りの調べを楽しんで下さい
あなたが開いた茶葉は、一つの芸術作品なのです

一杯目6右に寄せた図 一杯目7

急須の中を確認することで,お茶の状態をよく知ることができます

茶葉が開きすぎると,(表現が難しいですが)香りが飛んで焼けたような匂いになります
上手に淹れた一杯目の茶葉は香りが漂い,清々しい香りが立ちます
高価な茶葉になるほど,手もみの葉が多くなるので変化がシビアです
一杯目に欲張りすぎると二杯目が台無しになるのです

もし!開き過ぎと感じるときは,
それは待ち時間が,つまり抽出時間が長すぎの証拠です
それかお湯が熱すぎるか

もう少し短くするか,お湯の温度を少し低めに調整してみてください
大丈夫。少しずつ慣れましょう。失敗は次の成功への布石です


さてお茶は二杯目が重要です

二杯目が,その茶葉の特徴がもっともよく現れるからなんですよ
甘み,苦味,渋味,そして香味も目一杯楽しめます。
一杯目は“二杯目を上手に出すための準備”という考え方ができるかもしれません

生産者にとっても腕の見せどころといえますね

さて 待望の二杯目“ドゥ”のページへ


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